久ヶ原スイミングクラブ  

管理栄養士コラム

2017.01.24 睡眠時間と肥満との関連~睡眠時間,足りていますか?~

2017年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。ライフスタイルの多様化が進み、お正月の過ごし方もそれぞれかと存じますが、皆様にとって良い年になりますよう心より祈念いたします。

さて、年末年始にかけてクリスマスや忘年会、新年会等、ごちそうを食べる機会が増え、食を楽しむ場面が多い中で、お正月明けにちょっとばかり気になるのが…体重増加ですね。食べ過ぎれば体重が増えるのは当然ではありますが、睡眠時間やその質が肥満と関連することが、近年の研究で明らかになりつつあります。

コロンビア大学が男女8000人以上を対象に行った調査(2004年)によると、睡眠時間が7~9時間の人に比べ、4時間以下の人は73%肥満になりやすいことが報告されています。その原因のひとつとしては、起きている時間の消費エネルギー以上につい食べ過ぎるから、と推測されていますが、睡眠不足は太りやすいホルモン環境を引き起こす可能性が近年の研究により示唆されています。

我々の食欲は、レプチンという食欲を抑える食欲抑制ホルモンと、グレリンという食欲を亢進させる食欲亢進ホルモン、この2つのホルモンによってコントロールされています。睡眠不足になると、レプチンの分泌量が少なくなり、グレリンの分泌量が増加することがいくつかの研究によって確認されており、このように太りやすいホルモン環境になった結果、肥満になりやすいと考えられています。また睡眠不足になると、ケーキなどの甘いもの、ポテトチップスなどの塩辛いもの、パンやパスタなどの炭水化物の食品が食べたくなること、さらにREM睡眠(眼球がすばやく動き、骨格筋活動の低下を特徴とした睡眠脳波)量の減少は、代謝やエネルギーバランスに悪影響を与え、体重増加につながる可能性などが示唆されるなど、睡眠と体重増加との関連が明らかになりつつあります。

適切な体重を維持するためには、何をどれだけ食べるか、ということはもちろん大切ですが、運動や睡眠時間を含めた総合的な生活全般の在り方、という視点での見直しが、今後より大切になってくると考えられます。

忙しい現代社会、冒頭でもお話ししましたとおり、ライフスタイルも多様化しています。睡眠時間や運動する時間を確保することが難しい方もいらっしゃるかもしれませんが、ひとりひとりが将来の健康を見据えて、ご自身の生活の在り方について考えてみることが必要かもしれません。

【参考資料】
Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 1(3):e62. 2004
Crispim CA, Zalcman I, Dáttilo M, Padilha HG, Edwards B, Waterhouse J, Tufik S, de Mello MT. The influence of sleep and sleep loss upon food intake and metabolism. Nutr Res Rev. 20(2):195-212. 2007
McEown K, Takata Y, Cherasse Y, Nagata N, Aritake K, Lazarus M. Chemogenetic inhibition of the medial prefrontal cortex reverses the effects of REM sleep loss on sucrose consumption. Elife. 6;5. pii: e20269. 2016
e-ヘルスネット;レム睡眠(れむすいみん):
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-069.html

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