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管理栄養士コラム

2016.10.13 特定健診(メタボ健診)と腹囲測定 --- その2

10月に入り暑さも落ち着き、秋めいてまいりました。心地よく身体を動かせる季節です。食欲の秋でもありますね。今年は天候の影響で、農作物の価格高騰も気になるところですが、旬の食材をとり入れながら身体を動かして、健康維持増進に努めましょう。さて今回は、メタボ健診に関する話題第2弾です。

先日このコラム内でも触れましたが、メタボ健診とはメタボリックシンドロームの予防に着目した健診で、40~74歳の医療保険加入者について、内臓脂肪面積100cm2以上の目安となる腹囲が基準値(男性85cm, 女性90cm)以上であることを第一条件に、血圧・血糖・血中脂質の数値に異常がある人を保健指導の対象として選定してきました。先日のコラムでは、厚生労働省の検討会(2016年5月)の方針として、2018年度から腹囲が基準値未満の場合も血圧などの検査値が基準を超えれば、指導対象とする方向に大筋で決定した旨をご紹介しました。その理由として、日本人の生活習慣病の多くは肥満とは関係なく発症するうえ、日本人は肥満者の割合が少なく、本来指導が必要な人を見落とす恐れがあるため、非肥満者についても、必要な支援を実施することが望ましいからです。しかしその後の検討会(2016年7月)において、費用増大への懸念も背景に、指導対象を拡大するより、メタボの人たちに対する指導の実施率を上げる方が優先度は高いとし、腹囲を最初の判断基準(男性85cm以上、女性90cm以上)とする現行の特定健診を続けると決めました。ちなみに2014年度の特定健診実施率は48.6%、特定保健指導の終了率は17.8%。実施率は着実に伸びていますが、目標(特定健診70%、特定保健指導45%)とは依然として乖離しているのが現状です。

腹囲が基準未満で、リスク要因(血圧高値、脂質異常、血糖高値)がある者への対応方法については、重要な課題であり、今後も引き続き検討を行う方向にあります。肥満ではない、いわゆる隠れメタボの人がリスク要因を1つ以上持つ場合、持たない人より循環器疾患を発症するリスクが倍増することが調査で判明していることからも、腹囲が基準未満で肥満でなくとも、安心せずに生活習慣の見直しが大切なことは変わりありません。

健康維持の3本柱である“運動”“栄養”“休養”のどれも守ることが難しいのが現代社会の現状です。忙しくてまとまった運動時間が確保できなくても、こまぎれ運動をする(10分×3回の運動)、速足で歩く(時速4.8㎞で歩く)などでも糖尿病発症予防効果があることが明らかにされています。ふだんのちょっとした心がけや生活習慣が健康を守る上で重要なのです。次回のコラムでは、身体活動と疾患との関連についてご紹介したいと思います。

【参考資料】 第23回保険者による健診・保健指導等に関する検討会 資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000131908.html) Grøntved A, Rimm EB, Willett WC, Andersen LB, Hu FB. A prospective study of weight training and risk of type 2 diabetes mellitus in men. Arch Intern Med.24;172(17):1306-12, 2012.

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