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管理栄養士コラム

2016.03.24 認知症予防のための食事-ビタミンD-

今回は、少し前の研究成果ではありますが、「ビタミンD不足と認知症発症リスクとの関連」についてご紹介したいと思います。ビタミンDは、全身の細胞内に存在し、カルシウムと共に骨の健康を促すうえで必要な栄養素です。また、最近の研究では、神経調節にも関与することがわかってきており、ビタミンDは神経伝達物質の一つとして、アルツハイマー病やうつ病などに関与している可能性が指摘されています。マグロやサバ、サケ、といった脂肪性の魚や牛乳、チーズなどの乳製品に多く含まれ、最良の供給源であることに加え、皮膚が日光に当たること(日光浴)によって体内で生成されることから、日光浴はビタミンDを効果的に摂取する上でとても大切なものであることも忘れてはなりません。

さて、今回ご紹介する研究では、高齢者の血中のビタミンDレベルに着目し、認知症との関連について検討しました。対象は、認知症のない65歳以上の高齢者1658人で、血中ビタミンD 濃度を測定、平均6年間で参加者の171人が認知症を発症していることがわかりました。そのなかで、ビタミンD濃度が正常である者と比較し、ビタミンD濃度が低値である者(25〜50 nmol/L)では、認知症発症リスクが53%増大し、重度にビタミンD濃度が低い者(25 nmol/L以下)では、125%増大していることがわかりました。この結果は、学歴、喫煙歴、およびアルコール摂取といった、認知症リスクに影響しうる他の因子で調整した後も変わりませんでした。

この研究結果は、ビタミンD濃度が低値であることが高い認知症リスクにあることを実証するものではありませんが、ビタミンD不足である高齢者は、認知症を発症するリスクが増える可能性を示唆しています。ご高齢の方は全体的にビタミンD不足の傾向にあることから、ビタミンDを多く含む青魚や牛乳、チーズなどの乳製品を意識的に摂取し、日光浴を励行することは有用かもしれません。バランスの良い食事と屋外での適度な運動習慣は、健康寿命を延伸する上でも大切な習慣と言えそうです。

(参考文献: Vitamin D and the risk of dementia and Alzheimer disease. Neurology. 2014;83(10):920-8, Littlejohns TJ, Soni M, Llewellyn DJ et al.)

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