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コース紹介



  【Q&Aコーナー】

 肥満の予防や解消に関連した質問をお受けします。
 ご質問には、ジュニアフィットネスコースの顧問である川崎市立看護短期大学准教授 西端 泉(にしばた いずみ)、または、お茶の水女子大学大学院 谷内 洋子(やち ようこ)がお答えします。
 西端(fit_nishibata@yahoo.co.jp)は運動に関する質問にお答えします。
 谷内(yokonyago@yahoo.co.jp)は栄養に関する質問にお答えします。
 お子さんに関する質問を優先してお答えさせていただきますが、大人の方に関する質問も受け付けます。
 質問と回答は、直接、メールでさせていただくとともに、質問と回答をこのページにも掲載します。なお、ホームページに掲載する際には、質問された方を特定できるような個人情報は、掲載しません。
※メールの件名は「ジュニアフィットネス」としてください。
 なお、ジュニアフィットネスコースの参加者や、久ケ原スイミングの会員の方は、そのことをお名前の後に追加してください。必用に応じて、直接お話させていただくことがあるかもしれません。

 

質問0001「子供の肥満解消に適した運動」
質問0002 「子供の肥満と生活習慣について」

 

質問0001「子供の肥満解消に適した運動」

父親:小学校3年生の男の子です。身長は143 cm、体重は45kgで、少し肥満していると思います。あまり活動的ではなく、学校から帰ってくると、外へ遊びに行くことはほとんどありません。家では、テレビを見たり、本を読んだりもしますが、何となく時間を過ごしていることが多いようです。ゲームもしますが、特別、ゲームに熱中しているようなことはありません。私も妻も仕事があり、日中は家にいません。このままだと、子どもはますます太ってくると心配しています。どんな運動をさせれば良いでしょうか。私も妻も、ごく普通の体型で、運動習慣はありません。週末には買い物などで子どもと一緒に出かけますが、子どもと運動を一緒に行う習慣はありません。

西端:お子さんのウエストは何センチですか?

父親:測ってみたところ、だいたい80cmでした。

西端:身長と体重、それとウエストサイズからは、正常と肥満の境目のようですね。お父さんがご心配になっているように、将来のことを考えると、対策が必要だと思います。
 特に考えないといけないことは、肥満している・していないに関わらず、このぐらいの年齢のときの運動習慣が、将来の運動習慣を決定づける可能性が高いことです。というのは、10歳ぐらいまでに、その子の運動神経が完成するので、その後は努力しても、身のこなしが上手にならなくなる恐れがあるのです。最近は、まっすぐ走ることができない子どもとか、ジャンプできない子どもとか、たまたまジャンプできたとしても、着地が上手にできなくてケガをしてしまう子どもが目立つようになってきています。
 残念ながら、ご両親が平日いらっしゃらない状態で、小学校3年生のお子さんが1人で運動をすることは難しいと思います。外で遊べといっても、最近は、安全性の問題もあります。そこで、お願いしたいことは、週末は、お子さんと一緒に公園へ行って、様々な遊びに挑戦していただきたいことです。お父さんもお母さんも、特にスポーツはされないようなので、サッカーをしなさいとか、野球をしなさいとは言いません。お子さんと一緒に、おっかけっこをしたり、ジャングルジムに登ったり、すべり台を反対に駆け登ったり(本来はルール違反なので他の子どもがいないときに)、鉄棒にぶら下がったり(逆上がりとかを無理にしなくてもOK)と、とにかく色々な動作に挑戦していただきたいのです。夏場は、ぜひ、プールに遊びにいってください。泳げなくても結構です。水遊びをし、水に親しむ習慣を身に付けることが大切です。そうすることによって、お子さんの運動神経が発達し、基本的な身のこなしができるようになります。
 無理強いはしないでください。身体を動かすことが「楽しい」と思えるようになることが最も大切です。
 中学校に入ると、部活が盛んになりますから、男の子の肥満の本格的な解消は、それからでもよいと思います。基本的な運動能力が身に付いていれば、様々なスポーツに挑戦できますから、男の子の身長の伸びも手伝って、びっくりするようなスリムな男の子になれると思います。

質問0002「子供の肥満と生活習慣について」

母親:小学校3年生の女の子です。身長は133 cm、体重は36kgなのですが、小学校入学時頃から少しずつ太ってきたように思います。帰宅後は習い事に行くことが多く、外でお友達と遊ぶことはほとんどありません。最近は夜遅くまで起きてTVをみたりゲームをしていることが多く、睡眠時間が短くなったせいか朝なかなか起きることができず、朝食も食べずに登校することもあります。朝食を抜くと太りやすい、ということを聞いたことがあるのですが、本当でしょうか。

谷内:朝食の重要性については、いろいろな場面で言われていますよね。朝食をまったく食べないお子さんは少ないようですが、時々しか朝食を食べない子や朝食内容にも問題がある子、たとえば菓子パンとお茶だけ・・・など、まだまだ問題が多いようですね。

母親:なぜ朝食を食べたほうが良いのでしょうか。夕食に好きなおかずが出るとたくさん食べてしまうこともあり、翌日の朝は食欲がわかないこともあるみたいなのです。朝食を食べないと太りやすいのは、どうしてですか。

谷内:はい。まず、なぜ朝食を食べたほうが良いのか、ということについてからご説明いたします。脳や神経のエネルギー源となる血液中のブドウ糖は、寝ている間に消費されるため、朝食を食べないと脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足して、昼食を摂るまで脳の働きが悪くなります。朝食を食べずに登校するということは、やる気や集中力に欠け学習にも影響があるといわれており、朝食抜きは学習能力低下と関連があるとの報告もあります。また特に成長期のお子様の場合、1日に必要な栄養素を摂ることはとても重要なことですが、朝食を抜いてしまうと残りの2食の食事だけで補うことは難しくなり、栄養バランスを崩してしまうことにもなりかねません。

母親:午前中の学習に支障をきたすのは困りますね。最近夜遅くまで起きていることもあり、朝はギリギリまで寝ていることが多くなってから、朝食を食べずに登校する、ということが増えてきました。朝起きてすぐは本人も食欲がないようなので、なるべく早めに起きて余裕を持って食事をする時間を作ったほうが良いのですね。

谷内:そうですね。「朝食欠食と小児肥満との関係」を検討した調査では、朝食を欠食する子供は3歳ですでに、就寝時刻が遅い、テレビ視聴時間が長く肥満と関連する生活習慣がともなっていることも明らかになっています。また最近、睡眠と肥満の関係が注目されていて、国内外の調査においても、夜型生活などで睡眠時間が短くなると肥満になりやすくなる、という傾向が認められていますから、早寝早起きの習慣をつけることは大切なことだと思います。それから、夕食の食事量が多すぎると翌朝空腹を感じにくいので、夜の食事量も食べ過ぎないよう注意されるともっと良いと思います。
 次に、朝食を食べないと太りやすい理由についてですが、お子さんに限らず大人でもダイエットのために朝食を食べない、という人が時々いますよね。ところが食事の回数が減り時間の間隔があくと、食べ物の吸収が高まり、身体がエネルギーをためこもうとする働きが人間には備わっています。また朝食抜きの2回食の食習慣は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が働きにくくなるインスリン抵抗性があがり、糖尿病や肥満になる確率も高くなります。健康的で充実した1日を送るためには、朝食は大切な役割を果たしていると言えますよね。食習慣はお子様の現在の成長や健康だけではなく、お子様の将来の健康にも影響しますので、食事を含めた良い生活習慣を家族全員で身につける姿勢が大切ですね。





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