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肥満と関連した健康問題 心臓病
 表1は、ハーバード大学の卒業生を対象にした調査結果です。歴史の長い大学なので、卒業生の中には既に亡くなった人がたくさんいます。ハーバード大学では、生前から調査を続け、同じ年齢で、すでに亡くなった人と、生き残っている人の生活習慣の比較をしました。

表1 ハーバード大卒業生の生活習慣の違いに伴う死亡率の違い

悪い生活習慣の種類 死亡率(倍)
肥満 1.18
運動不足 1.31
遺伝 1.33
タバコ 1.84
高血圧 2.18
上の全ての生活習慣を合わせ持っている 3.03

*Paffenbargerの研究より。
*分かりやすいように、論文の中で使われている用語から一部変更したものがある。



 この表だけを見ると、肥満しても心疾患による死亡率はわずか1.18倍にしかならないことになります。この理由は、それぞれの悪い生活習慣の影響の強さを比較するために、統計学的に数字が修正してあるからです。どのように修正してあるかといえば、「悪い生活習慣は1つしかない」というようにです。たとえば、肥満している人は、運動不足でもないし、悪い遺伝も持っていないし、タバコも吸わないし、高血圧でもないというふうにです。しかし、現実はそんなことはあまりありません。
 「肥満と関連した健康問題:メタボリックシンドローム」でも説明したように、生活習慣病を持っている人は複数の問題を有していることが多いのです。そして、その根本的な原因として肥満が存在することが多いのです。

 肥満すると2型の糖尿病になりやすくなります。2型の糖尿病になると、動脈硬化を起こし、その結果、狭心症や心筋梗塞を起こすようになります。
 肥満すると高血圧になりやすくなります。高血圧になると、いつも血管に大きな負担が加わるので、心臓の血管が傷つき、詰まったり、破れたりしやすくなります。
 肥満すると血液中の悪いコレステロールが増えやすくなります。増えたコレステロールは血管内にたまり、心臓の血管が狭くなってしまって、心臓自身が酸素不足を起こすようになります。
 肥満すると血液中の尿酸が増えやすくなります。増えた尿酸は、足などの関節にたまって「痛風」発作を起こすようになるばかりでなく、腎臓の細い血管にたまって腎臓を目詰まりさせてしまって人工透析が必要になったり、心臓の細い血管にたまって血管を傷つけたりするようにもなります。

 このように、直接的には大した悪影響は及ぼさないものの、肥満すると、さまざまな生活習慣病を引き起こし、これらの生活習慣病が心臓病を引き起こすようになります。この結果「肥満と関連した健康問題:メタボリックシンドローム」で説明したように、危険性は30倍以上にもなります。




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