久が原スイミングクラブ ロゴ2
コース紹介



肥満と関連した健康問題 糖尿病

 現在、日本人成人の1割以上が糖尿病にかかっていると考えられています。おどろくほど高い割合ですが、その割には、多くの人は、あまり糖尿病のことをおそれていないように見えます。その理由の一つは、「肥満と関連した健康問題:有病率や死亡率」でも説明したように、糖尿病になってもほとんど自覚症状がないからだと思われます。
 糖尿病を放置すると、それが軽いものであっても、表1のようにおそろしい合併症(がっぺいしょう)が発生してきます。

表1 糖尿病に伴う合併症(厚生労働省の平成9年と平成14年の糖尿病実態調査の結果)
・ 現在(糖尿病の)治療を受けている人の中で、神経障害は15.6%、腎症は15.2%、網膜症は13.1%、足の壊疽(えそ)は1.6%の人に見られる。
・ 60歳以上で「糖尿病が強く疑われる(治療を受けていない)人」の20.5%に心臓病が、10.6%に脳卒中があり、正常範囲の人の心臓病12.3%、脳卒中6.6%に比べ高い割合になる。

 ジュニアフィットネスで子どもの肥満を予防したり解消したりすることを重視している理由は、ここにもあります。糖尿病に伴う合併症は、すぐには出てきません。このため、外見的なかわいらしさもあって、小児肥満は軽視される傾向にあります。しかし、放置すると、大人になってから比較的若くして合併症が発生してくる恐れがあります。そして、合併症が発生すると、多くの場合、合併症は治りません。また、合併症が発生すると運動すること自体が危険になってくることが多く、糖尿病の悪化を食い止めることもできなくなってしまいます。このようなことを避けるためにも、子どものころからの肥満の予防や肥満の解消が不可欠なのです。


図1 自動車保有台数と糖尿病患者数(s54〜h17)

 糖尿病があまり恐れられていない理由のもう1つは、糖尿病がとても多いことがまだあまり知られていないからだと思われます。なぜ、まだあまり知られていないかというと、糖尿病の診断基準が新しくなったのが比較的最近(1999年)で、その新しい診断基準で糖尿病の発生率を調査して、その発生率が高いことがようやくわかったからです。

 図1は、クルマの登録台数の増加とともに糖尿病患者数が増加してきていることを示しています。もうすぐ、日本人の5人に1人が糖尿病になるだろうと予測されています。他人事ではなく、自分のこととして、肥満を予防し、糖尿病にならないよう気をつけましょう。


糖尿病の自覚症状

 糖尿病はなかなか自覚症状の出にくい病気です。でも、重くなってくると、次のような症状が現れてくることがあります。
  ○ 異常にのどがかわき、よく水を飲む。
  ○ 尿の量や回数が多い。
  ○ 疲れやすい、身体がだるい。
  ○ 下腹部がかゆい。

合併症が発生してくると、
  ○ 手足がしびれる。
  ○ 立ちくらみがある。
  ○ 視力が落ちてきた。
  ○ 足がむくむ。
というような自覚症状が現れてきます。

糖尿病の種類

 糖尿病には、1型、2型、妊娠糖尿病などの種類があります。
 1型とは、以前は、若年発症型(じゃくねんはっしょうがた)と呼ばれていたものです。血液中の糖分(血糖)を調節しているホルモンにインシュリン(インスリン)というものがあります。このホルモンはすい臓でつくられるのですが、何らかの原因で、インスリンをつくることができなくなって、血糖を調節することができなくなるのが1型です。「若年」とは「子ども」という意味ですが、なぜこのタイプの糖尿病が以前は若年発症型と呼ばれていたかというと、子どものころに発病することが多いからです。
 2型とは、以前は、成人発症型と呼ばれていました。このタイプでは、最初のころは、インスリンをつくることができます。インスリンは増えすぎた血糖を骨格筋などの細胞の中に取り込ませて、血糖値を正常にもどす働きをします。運動不足や食べ過ぎで、細胞の中のエネルギーが余ってくると、細胞の中にそれ以上血糖を取り込ませることができなくなってきて、インスリンが役に立たなくなってきます。このようにして発病するのが2型糖尿病です。
 それでは、なぜ、「若年発症型」が「1型」、「成人発症型」が2型と呼ばれるようになったのでしょうか。その理由は、小児肥満の増加に伴って、子どもにも「成人発症型」の糖尿病が増えてきたからです。子どもの糖尿病なのに「成人発症型」と分類するのはおかしいので、1型・2型と呼ぶことになりました。
 このように、病気の名前を変えなければならないほど、子どもの肥満が増加しています。

 子どもにも2型の糖尿病が増えていることからわかるように、今では、糖尿病全体の95%ぐらいが、2型糖尿病です。


|目次|