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手遅れになる前に 老後の骨(骨そしょう症)は成長期に決まる

図1 加齢に伴う骨密度の変化

 骨の量は、男女ともに、30歳ぐらいに最も多くなり、その後しばらくは、ゆるやかに減少していきます(図1)。50歳ぐらいになると、女性では、骨の量が急激に減少しだします。きっかけは、閉経です。

 男性では男性ホルモンが、女性では女性ホルモンが、骨の量を保つ役割を果たしています。女性で閉経するということは、女性ホルモンがとても少なくなってしまうことを意味し、この結果、骨の量を保つことができなくなってしまいます。その結果、骨そしょう症の危険性がせまってきます。これは、「加齢」という、さけることができない現象なので、年をとってから、カルシウムを必要以上に食べるようにしても、実は、あまり役立ちません。

 この骨の量の変化は、「貯金」の変化に似ています。老後の生活費を確保するためには、若い間にたくさんかせいで、できる限りたくさん貯金しておく必要があります。老後になってから節約するという方法もありますが、充実した老後を過ごしたければ、十分なたくわえが必要になります。
 全く同じように、老後に骨そしょう症で寝たきりにならないためには、若いときに、骨をできるだけたくさん身体の中に蓄えておく必要があります。
 宇宙に行くと、重力がありません。重力がないと、骨で身体を支える必要がないため、骨はどんどん弱くなっていきます。これと全く同じことが、寝たきりになったときにも生じます。

 そこで、老後にそなえて、骨のたくわえを多くするためには、若いときに、骨に重力がたくさん加わる運動を十分に行う必要があります。図2に、一流スポーツ選手の種目別の骨量を示しました。


図2 一流競技者の種目別骨密度
(上のグラフ(青)は男性、下のグラフ(赤)は女性)

 このグラフからわかることは、骨を丈夫にするのに非常に効果的なスポーツ種目と、そうでない種目があることです。その違いは、やはり、重力です。ウエイトリフティングのような種目は、自分の体重だけでなく、外的な重量の刺激が骨に加わります。それに対して、水泳のような種目は、浮力によって、重力の刺激が弱められてしまいます。
 このようなことから、ジュニアフィットネスでは、スイミングだけでなく、スポーツクラブ「マイスポーツ」における体重を自分で支えながら行う運動もプログラムの中に含めています。

水泳は役立つ

 以上の解説を読んで驚かれた方もおられることでしょう。「水泳をしても骨は強くならない」というわけですから。でも、これは、直接的な効果に限った話であって、間接的には、水泳にも骨を強くする効果が期待できます。
 水泳を行うことによって体力がついてきます。この結果、日常生活で疲れることが少なくなり、体力面だけでなく、精神面にも余裕ができてきます。そして、普段の生活の中でも、「エレベーターを待っているよりも階段を上ろう。」とか、「電話で説明するよりも、会いに行って直接話をしたほうが話が早い。」という具合に、体を動かすことが苦にならなくなります。また、休日などでも、家でテレビを見て過ごすよりも、出かけようと思うようになったりします。このように、意識的・無意識に体を動かすことが増えることで骨に対する刺激が増え、それが骨を丈夫にする可能性があります。
 本文で示したグラフのデータは、一流競技者のデータです。水泳選手の場合は、毎日、数時間も泳ぎます。その数時間は、浮力の影響で、重力の刺激が骨に加わりません。それに、毎日のように数時間も泳ぐと、それ以外の時間は体を休める必要がありますから、日常生活での運動量も少なくなってしまうことになります。


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