北原道宏の教育コラム一覧
子供の成長と水
水は生命の源
人間の体重のおよそ60%は水分がしめていて、水分が不足すると生命が危険な状態になるといわれます。逆に水分の補給がしっかりできれば食物がなくても人間は生き延びる期間が長くなりますので、水は人間にとって非常に大切なものといえます。
私たちの生活環境においては、大雨、洪水、台風などの自然災害、海、川、プール、お風呂など、身の回りに必ず水が存在します。朝の顔洗いから歯磨き、掃除、洗濯、料理、大きく捉えれば工業用水、農業用水など常に水に関わって生きています。飲料水も汚れた水ではすぐに病気になってしまいます。
これらのことを考えると、私たちは「水」を知る必然性があり、「水が嫌いだから水には興味を持たない」というわけにはいかなくなることがわかります。それならば、自ら積極的に楽しんで水に親しんだほうが良いと思われますが、いかがでしょうか。
子供は本能的に水を学習する
私たちの日常生活の中に、顔を洗う、手を洗う、飲む、うがいをする、シャワーを浴びる、お風呂に入るなど水に関わるさまざまな習慣があります。
水という物質には、流れる、洗い流す、溶かす、染める、しみこむ、ぬらす、崩す、透き通る、にごる、はねる、ほとばしる、映す、反射する、輝く、冷やす、などの特性があります。
形も変幻自在に変わりますから、元々、子供にとっては興味深いモノです。雨上がりの水溜りにジャブジャブ入っていったり、海辺などの砂場で水を使う遊びは子供の想像力やイメージをかきたてる、とっておきの遊びとなります。子供は遊びを通して、生きるために大切な「水」の学習をしているのです。
プール学習の意味
遊びだけでなく水の危険性についても学習する必要があります。
海やプールでは水が深くなれば普通に歩けなくなります。浅いところでも脚を一歩ずつ水面から上げないとうまく走れません、深くなればおぼれてしまいます。水中では身体が浮き、不安定な感覚を体験することになります。水の冷たさも体験します。水中では息ができない、目を開けていると目に圧力を感じ、目が見えない、などは現実には水が夢のような楽しいイメージでなく、扱いによっては危険なものになることを知る大切な自己防衛学習にもなります。
水は最高の教育アイテム
水は形が多様に変化することから、遊びの天才である子供にとっては物事に熱中して遊ぶためにぴったりの学習素材となります。
スイミングに通うということは泳ぎを学習するだけでなく、子供の想像力や集中力、コミュニケーション力、思いやり、忍耐力、健康な身体作り、などさまざまな教育アイテムが含まれていますので、スイミングは、より意味のある「習い事」になると思われます。
次回は、子供への「言葉がけ」に関係するテーマでお話したいと思います。
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子供の健康と教育
はじめに
このたび、子供の成長に関わるコラムを書くことになりました北原です。よろしくお願いいたします。私は長い間スイミングで子供と接してきましたので、今後、コラムの中で子供の人格教育や水泳に関するお話ができればと思います。
私は今年7月に61歳の誕生日を迎えましたが、晩婚の私と違って私の長男が若くして結婚してくれたおかげで、現在2歳になる孫の顔が見られるようになりました。私が「仕事人間」で忙しかった時期に息子の成長をしっかり観ることができなかったので、孫を観ることを予想以上に楽しんでいます。
ただ、現代の国内外の激動が当分続くだろうことを考えると、生きていく術を身につけて欲しいものだと思い、孫だけでなく次世代の子供たちへ伝えることはしっかり伝えていかねばならないと思っています。
能動的な人格教育について
最近「ワイルドだろう」という流行のセリフを聞きますが、将来を担う子供たちに持ってもらいたいものはまさに、自分で問題解決できる、自立心です。前向きな気持ち(能動的)で、自ら目標を決め、四苦八苦して問題解決をして目標を達成するという経験が、たくましく世間を生き抜くことにつながると思う次第です。今後ますます進む国際化の中で活躍するためには、タフで心身のバランスのとれた創造力の豊かな人格教育が必要だと思っています。
自主性を持つとオリンピックで勝てる
日本人はオリンピックで勝てない民族性があるとよくいわれますが、その一因は指導者と選手の上下関係において指導者が一方的に指示し、選手が受身になり、「次は何をやるんですか」と指示待ちをする習慣にあると推測されます。競う相手が同等の実力を持つ場合、自分の考えで自主的に判断し、ハングリーである選手が勝つと思われます。
最近は日本でも選手の人格を尊重して育てる指導者が増え、勝負に強い選手が増えているように思います。教育の考え方によって人格形成に差が出るのではないでしょうか。
孟母三遷
中国の言葉に孟母三遷(もうぼさんせん)という言葉があります。昔、中国に孟子という優れた学者がいましたが、孟子の母親は幼い孟子により良い教育環境を与えるために住居を3回変えたという話です。
よく、動物は本能で成育するが人間は教えられて成育する、といわれます。原石の宝は磨き方が優れていると価値が上がりますが、原石の宝石と同様、子供に何を教育するか、子供が何を教育されるべきかを考えることが、周囲の大人としての大切な努めになるのではないかと思います。
子供の教育は、人間としての大切なテーマだと思います。
次回は、水に関係するテーマでお話したいと思います。
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北原道宏先生のプロフィール
北原 道宏(きたはら みちひろ)先生 筑波大学大学院修士課程コーチ学専攻修了。上級水泳教師。健康運動指導士。
日機装ケンコー時代は「メダルコレクター」の異名を持つほどの実績を残し、指導現場復帰をした2010年夏のJO(ジュニアオリンピック)では「10歳以下男子優秀コーチ賞」受賞。
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